T邸の庭 改修工事

艸木

2021年12月15日 08:03



2009年に作らせていただいたTさんのお庭。
12年経ち、荒れてきた庭をスッキリさせたいということで改修工事をすることに。
維持管理がしやすいように花壇を作りました。
上の写真は改修工事(花壇制作)後のものです。

写真中央付近の天端を平らにした大きな本部石灰岩も12年前に据えた石です。重量は200kg以上あります。
重機が入らない現場なので、細い路地や敷地の狭い通路を200mほどえっちらおっちらと運搬した懐かしい記憶がよみがえります。





改修工事前の様子です。
作庭当初、シマトネリコを植えていましたが、5~6年ほど前でしょうか、シマトネリコを管理しきれないということで撤去した経緯があります。その後、このスペースは植物が生い茂る上の写真のような状態となり、どうにかできないものかというご相談をいただきました。

良い機会なのでシマトネリコについて少しお話をします。
シマトネリコは人気のある樹木ですが、庭に植えるにあたってはその特徴を知ったうえで検討をした方がよいでしょう。
まずひとつ目は成長が早いこと。庭で維持していくには伸ばしっぱなしにするわけにいかないので、自分が管理できる樹高を決めて、年に2回の剪定をおすすめします。放置すると大変なことになります。
ふたつ目はシマトネリコの葉はオオスカシバという蛾の幼虫が好んで食べるということ。
イモムシが苦手という人には辛いこととなるでしょう。
三つ目はセミが樹液を吸いにくるということ。目を付けられるとすごい数のセミが樹液を吸いに集まります。見た感じ多分クマゼミだったと思います。夏は朝からセミの大合唱となります。セミが苦手な人、静かな朝を迎えたい人には不向きとなります。
だいたい、この三つの条件をクリアできれば植えてみても良いのではないでしょうか。

T邸では「成長が早すぎて維持管理が大変。」ということでの撤去です。
植える前に成長が早いと聞いてはいても、どの程度のものかは実際にやってみないとわからないものです。
はじめて庭を持つ場合、庭というのはどれだけ手がかかるのかがわからないという方がほとんどです。
何事もやってみなくてはわからないものです。やりながら自分の力量というか、暮らしの時間配分の中で、どれくらいの時間を庭にあてることができるかがわかってきます。それに合わせて庭をなおしていけばいいわけです。
今回の改修工事ではTさんが庭の世話をしやすいように、花壇をつくり、草花を多めに植えることにしました。
植える植物の種類によってはもっと手がかからないようにすることもできますが、それでは庭に愛情を注ぐ量がすごく少なくなってしまうので、今回はまずはこれくらいでやってみましょうという感じです。




改修工事にあたり、ほとんどの植物は撤去ということになりました。
上の写真は撤去途中のものです。
でも捨ててしまったわけではないのでご安心を。
私のところで育成し里親が見つかるまで待機となります。





制作中の様子です。
工事期間、毎日おやつのお心遣いをありがたく頂戴いたしました。
Tさんのお母さまは大変お料理の上手なお方で、素麺チャンプルーやおしるこ、うむくじてんぷらなどをご馳走になりました。
おやつを頂きながら、2009年の工事の際にくーぶいりちーをご馳走になったことを思い出しまして、あんな美味しいくーぶいりちーはあれ以来食べたことがないなぁなどと思った次第です。




花壇は、以前作った石のテラスと合う素材でということで、本部石灰岩という沖縄本島北部にある石でつくりました。
高さ約45cm、天端の奥行30cmほどの花壇は腰掛にもなります。
庭のお手入れの途中、花壇に腰掛けひと休みしてもらえれば嬉しいなぁと思っています。




別の角度からの写真です。
ソテツやガジュマルなどの盆栽は、Tさんのお父様が大切に育てていらしたものです。
その節はTさんのお父様にもとても良くしていただきました。

人生はあっという間で、気づいたら私なんかもうこんな年になってしまってという感じです。
人生という限られた時間の中であとどれだけの庭をつくらせていただけるかはわかりませんが、ひとつでも多く、できるだけいい庭を残せたらなぁと思うのです。



写真右側には12年前に植えたシマトネリコがいます。
Tさんは「このシマトネリコがいなくなると庭が寂しくなるので残したい」とおっしゃていました。
私は、庭に木があると、落ち着いたとても良い気持がするのですが皆さんはいかがでしょうか?












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