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2023年10月14日

10月14日の記事

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地球、自然、人・・・、すべてはひとつながりの命。
菌類など目に見えない微生物が介在している。
スザンヌ・シマ―ド氏は著書「マザーツリー」で
これは「どうすれば私たちが森を救えるか」についての本ではない。
これは「私たちが木々によって救われる可能性」についての本である。
と述べている。

これから年末にかけて庭のお手入れの依頼が多くなります。
住宅地での仕事となりますが、感じるのは庭に元気がないということ。
現代の土木や建築技術がコンクリートやアスファルトで土を覆う工法となりますので、土は呼吸ができずに、土中の水は滞る。表面を流れる水は細かな土を動かし土の通気孔を塞いでしまう。
表面から5~10cmまでの土はパサパサに乾き、その下は湿気が滞っているケースも多い。
先日、作業した庭もそんな感じの庭でした。
シークヮーサーが年々元気がなくなっているということで、土を掘らせてもらいました。
庭には微妙な高低差があります。
10cmほど土が高い場所の根は生きていましたが、低いところでは根は菌類により分解されておりました。

10月14日の記事

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土を掘り進め、深さ80cmほどで水が湧いてきました。
ご近所の地形からして、こちらの庭は低い位置にあるので水が集まりやすくなっているのかもしれません。
問題はこの集まってきた水の出口がないということ。
ゆっくりじわじわとどこかに浸透していっているのだと思うのですが、集まってくる水に対して排出が少なすぎて地中で滞水しているのだと感じました。
建物と外構の基礎で閉じ込められた庭の土は、呼吸する孔がなく、水も溜まりやすくなります。
これでは、木々は元気がなくなるのは当然のことです。
木の根は水や養分を吸うだけではなく、呼吸もしていますから。
ましてや、木を元気にしてくれる菌類などもこのような環境では育ちにくいこととなります。
それではということで、庭が呼吸できるように土中に空気の通り道をつくることにしました。

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まずは炭を敷き、ネトロンパイプを差し込みました。


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琉球石灰岩と燻炭で土中の通気を確保。

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生きている根の付近には落ち葉を入れ、土を被せました。
(落ち葉と土は混ぜてから入れればよかったと思います。)


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その後は、剪定したマサキの枝葉をネトロンパイプに突っ込んだり、敷いたり。

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落ち葉をのせたり、土を被せたり、燻炭蒔いたり、そんなことの繰り返し。
最後は、マサキの枝葉を地表にまき散らしておしまいとしました。

作業をしながらお客様とお話しをする機会がちょこちょこありました。
よくよく話を聞いていくと、以前はシークヮーサーの根元付近(ちょうど根が分解されていたあたり)で野菜を作っていたとのことでした。
シークヮーサーが大きく育ち、日陰になってしまったから野菜づくりをやめてしまったようです。
その後、カミキリムシが入り、シークヮーサーは年々元気がなくなっていったとのことでした。
野菜作りの際、土の表層10~15cmは耕していたようで、それが土中の空気を動かす良い働きかけだったと思うのです。
それをやめたため、土中の空気と水の動きが滞り、木が弱り、カミキリムシが入ったという流れだと思います。
たった10~15cmのことですが、土の中ではものすごい環境変化となるのですね。
今回は根が分解されているのを見ることができたわけですが、これって、根が分解されてその部分が空洞になると、水と空気の通り道ができるということにつながります。そうすると、土はまた呼吸ができるようになり元気を取り戻せるというわけです。
自然の力ってすごいなぁと思います。
人間がコンクリートやアスファルトで蓋をしても何とかしようと頑張っているんです。
それに人間が手を貸せば、加速度を増して自然は回復していくことと思います。


10月14日の記事

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縁石で区切られた場所は縁石に沿って溝を掘りました。
こちらも同様に水が湧いてきました。

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炭や燻炭を撒き、ネトロンパイプに枝葉を差し込み、要所要所に琉球石灰岩グリ石を入れてます。


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枝葉や落ち葉を入れて、燻炭蒔いて、土を被せての繰り返し。
完成写真は撮り忘れましたが、今回はここまでの作業で終了。
欲を言えば、15mくらい離れたところに排水桝があったのでそこまで水の道をつなぎたかったです。
それを作れば、土の中の水と空気は大きく動きだし、いろんなところで元気が回復するだろうと思ったからです。
お金はいらないからやらせてくれ!という気持ちになります。
しかし、あちこちでそれをしてしまうと生活できなくなってしまうので涙を飲んでここで一区切りです。
水と空気の循環が滞ると、庭に元気がなくなります。
みんなで土が呼吸をできるようにしていければ嬉しいです。
そして、いい菌が棲みつきやすくなり、木々が元気になれば、人間も元気になります。
ひとつながりの命ですから。

そういえば、お百度参りっていうのが昔からあります。
家族の誰かが病に臥せったりすると、病気が良くなりますように願ってお参りするというもの。(他にもいろんな願掛けがあるようですが)
ここからは私の想像です。
神社には大木も多くありいい菌がたくさん棲んでいるわけです。
お百度参りをするたびに、そのいい菌を持ち帰るわけです。
その菌が病に対して何らかの効果があったのではという想像。
まったく効果がなければ、そんな風習は続いていないわけでなどと思ってしまうのです。





Posted by 艸木 at 15:38│Comments(0)
 
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